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産地を追って no.5 全国的に生産ダウン

【平成24年7月3日掲載】

1 昭和55年当時の生産量に

平成23年度(2011年度)ののり生産が4月末で終漁しました。最後ののり入札会は、5月9日に宮城県で開かれました。

ところで、平成23年のり年度は23年9月から24年8月までとなっていますので、24年1月以降の生産期間は23年度の延長になります。したがって、平成24年4月までに生産されたのりは平成23年度産ということになります。

この23年度に生産されて入札会に出荷された数量は、77億7,376万枚です。昨年度(22年度)は85億5,101万枚で、約7億7,725万枚の減産です(表1)。

表1. 過去4年間の全国漁連別生産数量(単位:千枚)

No. 漁連 23年度 漁連 22年度 漁連 21年度 漁連 20年度
1 佐賀 1,825,985 佐賀 2,256,364 佐賀 1,788,082 佐賀 1,965,194
2 兵庫 1,538,799 福明 1,530,280 兵庫 1,422,509 兵庫 1,509,811
3 福明 1,224,375 兵庫 1,134,826 福明 1,101,174 福明 1,444,127
4 熊本 966,330 熊本 1,125,935 熊本 875,543 熊本 939,969
5 香川 496,956 香川 445,809 宮城 682,624 宮城 702,979
6 愛知 341,990 宮城 393,058 香川 451,090 香川 598,113
7 千葉 311,778 愛知 391,931 愛知 430,959 愛知 520,152
8 三重 277,320 三重 266,314 千葉 343,589 千葉 340,298
9 岡山 235,859 千葉 239,732 三重 248,214 三重 303,722
10 宮城 137,208 岡山 233,651 岡山 187,302 岡山 248,083
11 徳島 105,299 徳島 138,897 徳島 139,162 徳島 158,998
12 広島 63,037 広島 83,460 山口 72,491 愛媛 66,592
13 愛媛 57,730 山口 74,995 広島 69,506 広島 63,636
14 山口 44,097 愛媛 63,646 愛媛 61,525 山口 60,773
15 長崎 17,338 長崎 28,768 長崎 23,537 長崎 24,580
16 神奈川 10,477 神奈川 9,795 神奈川 9,110 神奈川 9,787
17 大分 7,003 鹿児島 8,630 鹿児島 7,584 大分 8,794
18 鹿児島 4,642 大分 7,647 福岡 6,963 福岡 7,217
19 福岡 4,215 福岡 7,485 大分 6,847 鹿児島 5,395
20         大阪 248    
  全海苔 103,328 全海苔 109,789 全海苔 95,845 全海苔 112,262
総計   7,773,763   8,551,011   8,023,906   9,089,485
注:「福明」は福岡県有明海海苔共販漁連の略称 資料:全国漁連のり事業推進協議会

この生産枚数は、昭和55年度の77億7,771万枚とほぼ同じ枚数です。昭和50年代は、のりが贈答商品として需要が増え始めた頃で、のり商社(のり問屋)の側から生産量の増加を求められていた時代です。

これ以降昭和60年から平成2年にかけては80億枚台から90億枚台、100億枚台へと生産数量も増え、景気上昇とともに企業の贈答品、上質の一般商品として、また、海、山へのレジャー旅行時代であり民宿、旅館などの朝食に添えられる商品として、多くの需要に支えられ、養殖技術の進歩もあって安定した生産が続きました。

しかし、好景気が終わり、企業の贈答品需要が減少するとともにレジャーブームの終焉が見えてくると、需要の減退が始まり生産も過剰気味となって、販売業者による消費市場での価格競争が始まりました。

それが産地価格にストレートに影響して価格下落につながり、増産体制のための製造設備や衛生管理設備の投資を行ってきた生産者にとっては採算悪化と後継者不足を招くことになり、高齢者から順次、のり漁業をあきらめる漁家が増え始めました。 生産量も次第に減少をはじめ、平成15年頃からは80億枚台の生産が続いています。

23年度は、11月中の天候が思わしくなく、のり芽の成長期に降雨量が多く生産状態が悪くなり、12月末までの全国の生産枚数は前年比48.7%程度でした。

この大幅な生産量減は、全国生産数量の50%を占める九州有明海地区3県(福岡、佐賀、熊本)の気象海況不順による11月中の生育不良のための生産減(前年比49.6%)と、全国第5位の生産県であった宮城県のこの時期の生産が前年比でわずか19%という結果に終わったこととによるもので、このことが最後まで全国生産数量に大きな影響を与える結果になりました。

2 「のり養殖」の現実

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