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日本産アマノリ属藻類紹介

海苔の豆図鑑

no.4

アマノリ類の学名

海苔養殖の主な対象種として最も良く知られているのは紅藻のスサビノリとアサクサノリです。これまでスサビノリの学名はポルフィラ・イェゾエンシス(Porphyra yezoensis)、アサクサノリの学名はポルフィラ・テネラ(Porphyra tenera)として親しまれてきましたが、近年の分子レベル(DNAレベル)での研究の進展は目覚ましく、世界に分布するノリの仲間(これまで学術的には紅藻アマノリ属Porphyraとしてまとめられていた)の分類学的・系統学的研究が著しく進展しました。

その結果、ポルフィラ属の分類が徹底的に見直され、これまでポルフィラ属(アマノリ属)に属するとされてきたアマノリは新たに8属に分れることになりました(2011)。これに伴って日本産アマノリのほとんどがポルフィラからピロピア(Pyropia)という属名に変更されることになりました。日本語の名前(和名)はこれまでと同じで変わりません。従って、スサビノリはピロピア・イェゾエンシス、アサクサノリはピロピア・テネラと呼ばれることになりました。また、このような動向の中で新たにミウラエア(Miuraea)という属名が故三浦昭雄先生の研究業績に敬意を表して設定され、最近(2010)アカネグモノリ(Porphyra migitae)として記載(命名)されたノリの学名はミウラエア・ミギタエ(Miuraea migitae)となりました。Miuraeaは日本語ではアカネグモノリ属と呼ばれることになりました。

日本産ノリ29種のうちDNA分析が行われた23種の8属への所属は次の通りです。

  • (1) クリメネ属(Clymene: なし
  • (2) ポルフィラ属(Porphyra): なし
  • (3) リシテア属(Lysithea : なし
  • (4) フシフォリウム属(Fuscifolium: なし
  • (5) マクレアマノリ属(Boreophyllum:
    • マクレアマノリ(Boreophyllum pseudocrassa
  • (6) ベニタサ属(Wildemania:
    • ベニタサ(Wildemania amplissima
    • キイロタサ(Wildemania occidentalis
    • フイリタサ(Wildemania variegata
  • (7) アマノリ属(Pyropia:
    • アツバアマノリ(Pyropia crassa
    • オニアマノリ(Pyropia dentata
    • ベンテンアマノリ(Pyropia ishigecola
    • ソメワケアマノリ(Pyropia katadae
    • ウタスツノリ(Pyropia kinositae
    • マルバアサクサノリ(Pyropia kuniedae
    • チシマクロノリ(Pyropia kurogii
    • ヤブレアマノリ(Pyropia lacerata
    • カヤベノリ(Pyropia moriensis
    • オオノノリ(Pyropia onoi
    • ウップルイノリ(Pyropia pseudolinearis
    • イチマツノリ(Pyropia seriata
    • マルバアマノリ(Pyropia suborbiculata
    • タネガシマアマノリ(Pyropia tanegashimensis
    • アサクサノリ(Pyropia tenera
    • カイガラアマノリ(Pyropia tenuipedalis
    • ツクシアマノリ(Pyropia yamadae
    • スサビノリ(Pyropia yezoensis
  • (8) アカネグモノリ属(Miuraea:
    • アカネグモノリ(Miuraea migitae

日本産のノリでDNA分析が済んでいないため所属がまだ確定していないのは、次の6種であり、これらはDNA分析が済むまではこれまでと同様のポルフィラ属(Porphyra)として扱われることになります。

  • ムロネアマノリ(Porphyra akasakae
  • コスジノリ(Porphyra angusta
  • エリモアマノリ(Porphyra irregularis
  • アナアマノリ(Porphyra ochotensis
  • クロノリ(Porphyra okamurae
  • スナゴアマノリ(Porphyra punctata

なお、中国で養殖されている壇紫菜(ハイタンアマノリ)の学名はPyropia haitanensisとなりました。

このような属名の変更は、アオノリ属(Enteromorpha)がアオサ属(Ulva)に統合された(2003)こと、これまでLaminariaとされてきた日本産のコンブは1種(ゴヘイコンブLaminaria yezoensis)を除いてすべて新しいコンブ属(Saccharina)に移された(2007)ことに続く、日本産の主要な食用海藻に関わる分類学上の重要な変更です。

(有賀祐勝 2013.1.22.)


解説執筆

有賀 祐勝(あるが・ゆうしょう)

一般財団法人海苔増殖振興会理事、浅海増殖研究中央協議会会長、公益財団法人自然保護助成基金理事長、東京水産大学名誉教授、理学博士

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